マーケティング活動において、市場調査は欠かせない要素です。市場調査とは、市場の状況や消費者のニーズを把握するために行う調査活動のことです。マーケティング活動の意思決定に役立てるために、市場調査を活用しましょう。
この記事では、マーケティングのための市場調査にどんなものがあるかを網羅的にまとめ、定量調査と定性調査のメリットとデメリットまで整理しています。
ライター:タイスケ|Taisuke
事業会社(日系および外資)でマーケティング歴10年以上。戦略立案など上流から広告やセールスライティングなどの下流までをワンストップで推進できることが強みです。豪州Bond大学でMBAを取得しており経営学にも精通しています。
★Follow me → X(Twitter)
目次
マーケティング調査の目的
マーケティング調査は、主に以下の目的で実施されます。
- 市場の規模や動向を把握する
- 消費者のニーズや意識を把握する
- 競合他社の動向を把握する
- 新商品・サービスの開発や改善に活かす
- マーケティング施策の効果を検証する
定量調査と定性調査とは
市場調査の手法を大きく分けると、定量調査と定性調査の2つの手法があります。
定量調査とは、数値や割合などの定量的なデータを収集する調査手法です。アンケート調査や実験調査などが代表的な手法です。
定性調査とは、自由回答やインタビューなどの定性的なデータを収集する調査手法です。消費者の潜在的なニーズや意識を把握するのに適しています。
定量調査のメリット・デメリット
定量調査のメリットは、以下のとおりです。
- 大規模な調査が可能
- 比較的短時間で調査が可能
- 統計的で信頼性の高いデータを収集できる
定量調査のデメリットは、以下のとおりです。
- 深い洞察や発見が得られにくい
- 仮説の検証には向いているが新たな仮説は生まれにくい
定性調査のメリット・デメリット
定性調査のメリットは、以下のとおりです。
- 消費者の潜在的なニーズや意識を把握できる
- 新たな仮説が生まれることも
- 深い洞察や発見が得られやすい
定性調査のデメリットは、以下のとおりです。
- 大規模な調査が難しい
- 調査対象の個人的なバイアスに偏ることも
- 比較的時間と費用がかかる
定量調査の種類
定量調査には、以下の種類があります。
アンケート調査
アンケート調査は、最も一般的な定量調査の手法です。紙やWebで回答してもらうことで、消費者のニーズや意識を把握できます。以前は郵送形式で調査票を送り回答してもらう方法が主流でしたが、現代ではWeb上で答えられる方法が主流となりました。
実験調査
実験調査は、特定の条件下で消費者の行動や反応を観察する調査手法です。新商品・サービスの開発や改善に活用されます。
定性調査の種類
定性調査には、以下の種類があります。
デプスインタビュー(1対1)
デプスインタビューは、1対1でインタビューを行う調査手法です。消費者の深層心理や潜在的なニーズを把握するのに適しています。
グループインタビュー(5~6人)
グループインタビューは、5~6人程度のグループでインタビューを行う調査手法です。消費者の共通の意見や感想を把握するのに適しています。注意としては、グループの中の誰かの意見に全員が流されてしまうことや、複数人いるため正直な意見が出にくいなどのリスクもあります。インタビュアーの力量が試される手法です。
オンライングループインタビュー(5~6人)
オンライングループインタビューは、インターネット上でグループインタビューを行う調査手法です。コストや時間の削減に効果的です。特徴はグループインタビューと同様です。Zoomなどのツールに慣れていない調査対象者もいるので、システム面でのしっかりとした準備やフォロー体制が必要です。
ミステリーショッパー
ミステリーショッパーは、店舗やサービスの従業員になりすまして、調査を行う調査手法です。サービス品質の向上に活用されます。また逆に、顧客になりすまして店舗を訪問することで、従業員のサービスの質のチェックを行う手法も同じくミステリーショッパーと呼ばれます。
電話調査
電話調査は、電話で回答してもらうことで、消費者のニーズや意識を把握する調査手法です。現在はWeb経由でのヒアリングが主流となっています。
街頭調査
街頭調査は、街頭で回答してもらうことで、消費者のニーズや意識を把握する調査手法です。デメリットとしては、調査の協力を得られないケースがあることと、調査対象者の属性を選ぶことはできないため、こちらが意図している調査対象を集めにくいことがあります。
観察調査(ユーザビリティ調査)
観察調査(ユーザビリティ調査)は、消費者が商品やサービスを利用する様子を観察して情報を収集する調査手法です。商品やサービスの改善に活用されます。また、Webマーケティングでは、新しいWebサイトやアプリを調査対象者に実際に使ってもらいながら、感想を聞くスタイルのユーザビリティ調査も一般的です。
調査を行う時の注意点
市場調査を行う際には、以下の点に注意しましょう。
調査対象者が適切か確認する
調査対象者が適切でないと、得られるデータの信頼性が低くなります。調査対象者の属性や条件を明確にして、対象に沿った調査を行うようにしましょう。
調査対象者にとってわかりやすい表現で行う
調査対象者が質問の意図を理解できないと、正確な回答が得られません。調査対象者の立場に立って、わかりやすい表現で質問を行うようにしましょう。
仮説を持って調査票を作る
調査を行う前に、調査の目的や仮説を明確にしておきましょう。仮説を持って調査を行うことで、調査の目的を達成しやすくなります。
画像を提示する際は調査で確認したいポイントを明確にする
画像を提示する際は、調査で確認したいポイントを明確にしておきましょう。画像のどの部分に注目してもらいたいのか、調査対象者に伝えるようにしましょう。もし調査で確認したいポイント以外の部分ばかり目立ってしまうような画像だと、例えばキャッチコピーを確認したい調査なのに、「赤が好きだからAの方が良い」などと全く異なる観点で回答されてしまいます。
定量調査は選択肢の順番をランダマイズする
これは質問の内容によりますが、定量調査の選択肢の順番をランダマイズすることで、回答者のバイアスを抑えることができます。選択肢の順番をランダマイズすることで、より正確なデータを収集しやすくなります。
まとめ
市場調査は、マーケティング活動において欠かせない要素です。市場調査を活用することで、消費者のニーズや意識を把握し、マーケティング活動の意思決定に役立てることができます。
市場調査を行う際には、目的や対象者を明確にして、適切な調査手法を選ぶことが大切です。また、調査を行う際には、上述した注意点を参考にして、より効果的な調査を行うようにしましょう。