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カクテルパーティー効果とは?ビジネスでの活用方法や類似のカラーバス効果との違いを解説

カクテルパーティー効果

マーケティングにおいて、商品やサービスの認知度を高め、顧客を獲得するためには、まずターゲットとなる消費者の注意を引くことが重要です。しかし、現代社会では、消費者は常にさまざまな情報にさらされており、その注意を惹きつけるのは容易ではありません。

そこで、マーケティングにおいて活用されているのが「カクテルパーティー効果」です。カクテルパーティー効果とは、騒がしい人混みの中でも、自分の名前を呼ばれると気づくという現象です。この効果をマーケティングに活用することで、消費者の注意を惹きつける効果的な手段となります。

例えば運動不足を感じている時に、ポストにジムでトレーニングしている人の写真が大きく載ったチラシが入っていると、普段はチラシを全く見ない私でもつい見てしまいます。これも自分が必要とする情報を無意識に取捨選択しているということです。

ライター:タイスケ|Taisuke
事業会社(日系および外資)でマーケティング歴10年以上。戦略立案など上流から広告やセールスライティングなどの下流までをワンストップで推進できることが強みです。豪州Bond大学でMBAを取得しており経営学にも精通しています。
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目次

カクテルパーティー効果とは

カクテルパーティー効果

カクテルパーティー効果

カクテルパーティー効果は、1953年に心理学者、コリン・チェリーによって発表された現象です。コリン・チェリーの実験から、人間の脳は、自らの利益や関心に関わる情報には、より敏感に反応する傾向があることがわかっています。

つまり、マーケティングにおいて、ターゲットとなる消費者の利益や関心に関わる情報を提供することで、その消費者の注意を引きつけることができるのです。

騒がしい人混みでも自分の名前を呼ばれると気づく不思議

カクテルパーティー効果は、なぜ起こるのでしょうか。その理由は、人間の脳が「選択的注意」という機能を備えているためです。選択的注意とは、脳が、複数の情報の中から、自分が重要だと判断した情報にのみ注意を向けるという機能です。

人間の脳は、常に膨大な量の情報にさらされています。そのため、すべての情報を処理しようとすると、脳に過剰な負荷がかかってしまいます。そこで、脳は、自分が重要だと判断した情報にのみ注意を向けることで、情報処理の負荷を軽減しているのです。

カラーバス効果との違い

カクテルパーティー効果によく似たものに、カラーバス効果というものもあります。カクテルパーティー効果とカラーバス効果は、どちらも人間の脳が情報処理を行う際に起こる現象です。しかし、両者にはいくつかの違いがあります。

カクテルパーティー効果
  • 聴覚情報に対する選択的注意
  • 自分の名前や、自分の関心に関わる情報に敏感に反応する
カラーバス効果
  • 視覚情報に対する選択的注意
  • 自分の関心に関わる色に敏感に反応する

つまり、カクテルパーティー効果は聴覚情報に対する効果であり、カラーバス効果は視覚情報に対する効果であるという違いがあります。

マーケティングにおいては、ターゲットとなる消費者の興味や関心に合わせて、カクテルパーティー効果やカラーバス効果を活用することが有効です。例えば、化粧品などのファッション関連の商品をマーケティングする場合は、カラーバス効果を活用して、ターゲットとなる消費者の興味関心のある色を商品や広告に使用することで、消費者の注意を惹きつけることができます。

また、ターゲットとなる消費者の悩みや不安に寄り添ったような言葉遣いを用いて、ターゲットの共感を得ることで、カクテルパーティー効果を活用して、消費者の注意を惹きつけることができます。

マーケティングでの活用例

カクテルパーティー効果は、マーケティングにおいてさまざまな場面で活用されています。

ターゲットに合わせたアプローチ

カクテルパーティー効果を活用するためには、まずターゲットとなる消費者を明確に定義する必要があります。ターゲットが何に興味があり、何を求めているのかを理解することで、ターゲットに合わせたアプローチを行うことができます。

例えば、20代女性をターゲットとした化粧品のマーケティングでは、20代女性が興味を持つであろう、美容やファッションに関する情報を提供することで、ターゲットの注意を惹きつけることができます。

共感を呼ぶ言葉遣い

ターゲットに合わせたアプローチを行うだけでなく、ターゲットが共感するような言葉遣いも重要です。親しみやすい言葉遣いや、ターゲットの悩みや不安に寄り添うような言葉遣いを用いることで、ターゲットの心をつかむことができます。

例えば、「最近体脂肪が気になる方へ」「中学受験をお考えの保護者の方へ」など、誰に向けた内容かというのを広告の冒頭で呼びかけるのはとても王道ですが効果のある手法です。また、ダイエット食品のマーケティングでは、ダイエットに悩む女性の共感を得るために、ダイエットの成功体験談や、ダイエットのコツを紹介するような内容を盛り込むことで、ターゲットの注意を惹きつけることなどもできるでしょう。

ただしターゲットの絞りすぎにはデメリットも

カクテルパーティー効果を活用することで、ターゲットとなる消費者の注意を惹きつけることは可能です。しかし、ターゲットを絞りすぎることには、デメリットもあります。

ターゲットを絞りすぎると、ターゲット以外の消費者の注意を引くことが難しくなります。また、ターゲットに合わせたアプローチを行うことで、ターゲット以外の消費者に不快感を与えてしまう可能性もあります。

そのため、ターゲットを絞りすぎるのではなく、ターゲットとそれ以外の消費者の両方に訴求できるようなアプローチを検討することも重要です。

まとめ

カクテルパーティー効果は、マーケティングにおいて、ターゲットとなる消費者の注意を惹きつける効果的な手段です。ターゲットを明確にし、ターゲットが共感するような言葉遣いでアプローチすることで、マーケティングの効果を高めることができます。