Marketing101

マーケティング101|ゼロからわかるビジネススキルマガジン

【価格戦略の基礎】3つの戦略と重要なポイントを解説

price

ビジネスにおいて、価格設定は売上や利益はもちろん、ブランドイメージや顧客満足度にも影響を与える重要な要素です。しかし、適切な価格設定は簡単ではありません。競合状況や顧客のニーズなど、さまざまな要素を考慮する必要があるからです。

そこで今回は、価格戦略の基礎知識に加え、3つの代表的な価格戦略とそれぞれの重要なポイントを分かりやすく解説します。

ライター:タイスケ|Taisuke
事業会社(日系および外資)でマーケティング歴10年以上。戦略立案など上流から広告やセールスライティングなどの下流までをワンストップで推進できることが強みです。豪州Bond大学でMBAを取得しており経営学にも精通しています。著書「マーケティング思考のセールスライティング基礎と定石」
★Follow me → X(Twitter)

参考資料
金森 努『最新版 図解よくわかるこれからのマーケティング』

目次

価格戦略とは?

価格戦略とは、企業が製品やサービスに設定する価格を決めるための考え方や方法論です。単に商品の価値を反映するだけでなく、顧客の購買心理や競合状況などを考慮し、最適な価格を設定することを目的としています。

3つの価格戦略

商品やサービスの価格を決める時、企業は決して「何となく」決定しているわけではありません。価格戦略には、主に以下のような3つの種類があります。

1. 原価志向:コスト積み上げ方式

原価志向は、製品やサービスの製造・販売にかかるコストに利益率を乗せて価格を決める方法です。例えば、スーパーなどのお弁当の原価に利益率を乗せて価格設定を行うようなケースです。

最もシンプルで分かりやすい方法ですが、顧客の価値や競合状況を考慮していないため、必ずしも最適な価格とは限りません。

2. 需要志向:Customer Value方式

需要志向は、顧客が製品やサービスに感じる価値に基づいて価格を決める方法です。顧客調査や市場分析などを通して、顧客の価値観や購買心理を把握し、それに応じた価格設定を行います。

深いユーザー心理の理解が必要なので簡単ではありませんが、これが非常に合理的な決定方法と言えるでしょう。

3. 競争志向:競合比較方式

競争志向は、競合製品やサービスの価格を参考に価格を決める方法です。自社の製品やサービスの差別化ポイントを考慮しつつ、競合との価格差を適切に設定する必要があります。

人が「高い」「安い」と感じるのは、ほとんどのケースで何かと「比較」しているからです。例えば、100円均一ショップの中に、5000円の商品があると、とても高いと感じるかもしれませんが、高級アパレルショップの中での5000円の商品は、安いと感じられるかもしれません。

競合がいくらで同様の商品を提供しているかというのも、価格決定では非常に重要なポイントになります。

価格戦略のポイント

適切な価格戦略を実行するためには、以下の3つのポイントを押さえることが重要です。

1. 損益分岐点を明確にする

損益分岐点とは、売上と費用が一致する販売数量のことです。損益分岐点を把握することで、最低限必要な売上を確保するための価格設定が可能になります。

いくら競合が低い価格で同類の商品を提供しているとはいえ、損益分岐点を下回ってしまうような価格で販売しては元も子もありませんね。

2. 価格弾力性を考慮する

価格弾力性とは、価格が変化したとき、需要がどの程度変化するのかという度合いです。価格弾力性が高い商品の場合、価格変更の影響が大きいため、慎重な価格設定が必要です。

一般的には、お米や水などの生活必需品は価格弾力性が低いです。つまり価格変更の影響を受けやすいということです。生活に必要なので、多少価格が高くなっても多くの人は購入せざるを得ないからです。一方で、同じ食品であっても贅沢なスイーツなどは、一般的に価格弾力性が高い、つまり価格変更の影響を受けやすいです。それを購入しなくてもその人の生活に大きな支障はないからですね。

3. 規模の経済を考慮する

規模の経済とは、生産量が増えるにつれて、平均的な生産コストが低下する現象です。規模の経済が働いている場合、低価格戦略で市場シェアを獲得することが可能になります。

例えば、Amazonなどの巨大企業がなぜあそこまで安い配送費で商品を届けられるかというと、巨大プラットフォームであるが故に、規模の経済が働いているからです。生産量を増やして価格を下げる方法はないかという点は、常に考慮しておくと良いでしょう。

まとめ

価格戦略は、企業の経営戦略において重要な役割を果たします。今回紹介した3つの価格戦略とポイント、そして具体的な事例や例えを参考に、自社の製品やサービスに最適な価格設定を行いましょう。