マーケターのスキルとして重要なのがプロジェクトマネジメントです。
プロジェクト管理は、計画から実行、監視、そして完了に至るまでの過程を効果的に管理し、目標を達成するためのプロセスです。このプロセスを成功させるためには、適切なツールの選定と利用が欠かせません。プロジェクト管理の世界では、WBS(Work Breakdown Structure:作業分解構造)とガントチャートがよく用いられるツールです。本記事では、これら二つのツールの違いと、それぞれを作成する際のポイントについて解説します。
ライター:タイスケ|Taisuke
事業会社(日系および外資)でマーケティング歴10年以上。戦略立案など上流から広告やセールスライティングなどの下流までをワンストップで推進できることが強みです。豪州Bond大学でMBAを取得しており経営学にも精通しています。著書「マーケティング思考のセールスライティング基礎と定石」
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参考資料
- 前田和哉「プロジェクトマネジメントの基本がこれ1冊でしっかり身につく本」
目次
WBSとは
WBSとは、シンプルに言うと「タスクを分解すること」です。
例えば、「カレーを作る」というプロジェクトのゴールを達成するためには、「買い物に行く」「カレールウ、玉ねぎ、にんじん、お肉を買う」「お米を炊く」「食材を切る」…など様々なタスクが必要ですね。このようにゴールを達成するために、タスクを分解して構造化して作成されるのがWBSです。
WBSはプロジェクトを成功に導くために必要な作業を階層的に分解し、全体像を明確にする手法です。このプロセスによって、プロジェクトの目標達成に必要な作業が詳細に明らかになり、各チームメンバーが取り組むべきタスクが具体的になります。
WBSは、プロジェクトのスコープを管理し、期間、コスト、資源の見積もりを正確に行うための基盤となります。
ガントチャートとは
ガントチャートは、シンプルに言うと「スケジュールを引くこと」です。カレーを作るために分解したタスクを、それぞれがどのくらいの時間がかかり、どのような順番で、誰がいつまでにやるのか、というのを、ビジュアル化する作業になります。
ガントチャートは、プロジェクトのスケジュール管理に用いられるツールで、タスクの開始と終了の時期、期間、および依存関係を視覚的に表現します。
このチャートを使うことで、プロジェクトの進捗状況を一目で把握でき、計画通りに進んでいない場合の調整も容易になります。また、リソースの割り当てや優先順位の設定にも役立ちます。
WBSとガントチャートの違い
WBSとガントチャートは、どちらもプロジェクト管理において重要なツールですが、その目的と機能には明確な違いがあります。
WBSは「何を」行う必要があるのかを明確にするためのツールであり、プロジェクトの範囲と要求を詳細に定義します。一方、ガントチャートは「いつ」特定のタスクを実行するか、そしてそれらのタスクが「どのように」関連しているかを示すスケジュールツールです。
要するに、WBSはタスクの「分解」に焦点を当て、ガントチャートはタスクの「スケジュール化」に焦点を当てています。
WBSとガントチャートを作る時のポイント
WBSを作成する際のポイント
- 全体を俯瞰し、プロジェクトの主要な成果物を定義します。
- 成果物をさらに細かいタスクに分解し、それぞれに責任者を割り当てます。
- 階層構造を明確にし、各タスク間の関係性を理解しやすくします。
ガントチャートを作成する際のポイント
- タスクの開始日と終了日を明確にし、実行期間を設定します。
- 依存関係を特定し、タスク間の連携を視覚的に示します。これにより、あるタスクの遅延が他のタスクにどのように影響するかがわかります。
- リソースの割り当てを考慮し、リソースが過剰に集中している期間や、使用されていない期間を調整します。
- プロジェクトの進行に合わせてガントチャートを定期的に更新し、プロジェクトの進捗状況を反映させます。
まとめ
プロジェクト管理におけるWBSとガントチャートは、プロジェクトの完遂に不可欠なツールです(ただしWBSは省略されることも多い)。プロジェクト管理の基本として、WBSとガントチャートの違いを理解し、各プロジェクトの特性に応じて効果的に活用することが、プロジェクトリーダーやマネージャーにとって重要なスキルとなります。