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【AIDMA・AISAS理論とは】意味と違いを事例つきでわかりやすく解説

AIDMAとAISAS

マーケティングにおける消費者行動のモデルは、長年にわたって多くの理論が提唱されてきました。その中でも、特に定番とされているのがAIDMA理論AISAS理論です。これらの理論は、消費者の購買行動を理解し、効果的なマーケティング戦略を立てる上で非常に重要です。この記事では、これら2つの理論の意味や違いを事例を交えてをわかりやすく解説します。

ライター:タイスケ|Taisuke

事業会社(日系および外資)でマーケティング歴10年以上。戦略立案など上流から広告やセールスライティングなどの下流までをワンストップで推進できることが強みです。豪州Bond大学でMBAを取得しており経営学にも精通しています。著書「マーケティング思考のセールスライティング基礎と定石」 ★Follow me → X(Twitter) 

目次

AIDMA理論とは

AIDMAとAISAS

AIDMA理論は、Attention(注意)、Interest(関心)、Desire(欲望)、Memory(記憶)、Action(行動)の各段階を経て消費者が製品を購入するまでのプロセスを表したものです。これは、消費者が商品を認知し、興味を持ち、欲求を感じ、記憶し、最終的に購入に至るまでの心理的な流れを追うものです。

例えば、テレビCMや交通広告を見て新しいタイプのテレビのことを知り(Attention)、店舗にディスプレイされている商品を見かけて興味を持つ(Interest)、その商品の詳細を店員から聞いて欲しくなり(Desire)、家に帰って家族にそのことを話すなどしてもやはり欲しいと感じ(Memory)、後日店舗に戻って購入を決定する(Action)などのフローです。

AISAS理論とは

一方、AISAS理論は、Attention(注意)、Interest(関心)、Search(検索)、Action(行動)、Share(共有)の5段階で構成されています。こちらは、インターネットが普及した現代において、消費者が情報を検索し、製品を使用した後に感想を共有するプロセスを加えた新しい購買行動モデルです。

この理論の特徴は、Search(検索)という段階があり、インターネットやSNS上で興味を持った情報を検索するプロセスがあることと、商品を購入して終わりではなく、その後にShare(共有)というプロセスがあることです。SNSで一般の消費者が簡単に自分の意見や商品レビューを発信できる時代ならではの理論といえますね。

AIDMAとAISASの違い

AIDMA理論が提唱されたのは、メディアが限られていた時代のこと。それに対してAISAS理論は、インターネットとソーシャルメディアの登場により、消費者が情報を積極的に検索し、購入後にその体験を共有する現代の消費者行動を反映しています。つまり、AIDMAが一方的な情報流通を前提としているのに対し、AISASは双方向のコミュニケーションを前提としている点が大きな違いです。

どのような時に役立つ理論か

AIDMA理論は、テレビCMや雑誌広告など、トラディショナルなメディアを主軸に置くマーケティングに役立ちます。一方で、AISAS理論は、オンラインマーケティングやソーシャルメディア戦略を立てる際に有効です。消費者が情報を積極的に検索し、製品やサービスの使用経験を共有することが前提となっているため、口コミやバイラルマーケティングにもつながります。ただし、いずれも本質的には共通して「消費者の行動のプロセスを分解して考える」ためのツールですので、ご自身の商品やサービスの特徴に合わせて使いやすい方を使うで問題はないです。

また、これらの理論は大きなマーケティング戦略を考える際にも当然使えますが、WEBサイトの構成を考えたり、1枚のチラシの内容を考えたりする小さな施策の場合にも、消費者の心理の変化を捉えるものとして活用することが可能です。

企業の事例(スターバックス)

スターバックスは、AISAS理論を巧みに活用しています。例えば、季節ごとに期間限定新商品を切り替え、店舗や店舗前にディスプレイすることで消費者の注意を引くためのプロモーションを行い、関心を喚起します。店舗やアプリを通じて情報を提供し、検索を促します。そして、製品を使用した顧客がその体験をSNSで共有することで、さらなる顧客の関心を引き、新たな顧客を獲得しています。スタバの商品は、SNSでシェアされることを前提として、華やかなデザイン(ドリンク自体も、カップデザインなどのパッケージも含め)が施されています。これらの消費者による共有(Share)がスタバの強力なプロモーションとなっていることは言うまでもないでしょう。

まとめ

AIDMA理論とAISAS理論は、それぞれ異なる時代の消費者行動を反映したマーケティング理論です。どちらの理論も、製品やサービスのマーケティング戦略を練る上で有用な枠組みを提供し、企業が成功を収めるための指針となり得ます。今日の多様なメディア環境の中で、これらの理論を理解し、適切に活用することが、マーケティングにおいてより重要になっています。