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「chocoZAP」成功の理由とは【4P分析とブルーオーシャン戦略】

chocoZAP成功の理由

近年、健康志向の高まりから、フィットネスジム市場は拡大傾向にあります。しかし、高額な入会金や月会費、営業時間の制限など、従来のジムには多くの課題もありました。そんな中、24時間365日利用可能な無人型フィットネスジム「chocoZAP」が、革新的なビジネスモデルで市場に旋風を巻き起こしています。この記事では、「chocoZAP」の成功をマーケティングの観点でまとめたいと思います。

ライター:タイスケ|Taisuke
事業会社(日系および外資)でマーケティング歴10年以上。戦略立案など上流から広告やセールスライティングなどの下流までをワンストップで推進できることが強みです。豪州Bond大学でMBAを取得しており経営学にも精通しています。著書「マーケティング思考のセールスライティング基礎と定石」
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参考資料

目次

「chocoZAP」とは

chocoZAPは、月額2,980円(税込)という低価格で利用できる、RIZAPグループが運営する24時間365日無人型のフィットネスジムです。従来のジムとは異なり、シャワーや更衣室などの設備を必要最低限に抑えることでコストを削減し、低価格を実現しています。

chocoZAP事業の現状

わずか1年5ヶ月でアクティブ会員数100万人を突破

chocoZAP会員数

RIZAPグループ株式会社『2024年3月期 第2四半期決算説明会資料』より

2022年7月にサービスを開始したchocoZAPは、24時間365日利用可能な無人型フィットネスジムという革新的なサービスで、瞬く間に人気を博しました。2023年11月時点で、アクティブ会員数は100万人を突破し、驚異的な成長を続けています。

全国40都道府県に1,160店舗を展開

chocoZAP店舗数

RIZAPグループ株式会社『2024年3月期 第2四半期決算説明会資料』より

店舗数も急速に拡大しており、2023年11月時点で全国40都道府県に1,160店舗を展開しています。これは、競合他社の店舗数と比べても圧倒的な数であり、chocoZAPの利便性を物語っています。

フィットネスジム市場の成長に貢献

chocoZAP競合

RIZAPグループ株式会社『2024年3月期 第2四半期決算説明会資料』より

従来のフィットネスジムとは異なる顧客層を開拓することに成功しており、フィットネスジム市場全体の成長にも貢献しています。競合他社の会員数が減っていないことを考えると、chocoZAPは新たな市場を創造していると言えるでしょう。

chocoZAPの4P分析

全体像を明確にするために4Pの観点でチョコザップをまとめてみましょう。

1. 商品(Product)

  • 24時間365日利用可能な無人型フィットネスジム
  • 最新の筋力トレーニングマシン、有酸素トレーニングマシンを完備
  • 更衣室などの設備は必要最低限(シャワーなし)
  • 多様なオプションサービス:セルフ脱毛、エステ、ゴルフ練習

2. 価格(Price)

  • 業界最安値レベルの月額2,980円(税込)
  • 入会金、事務手数料無料

3. 流通(Place)

  • 全国40都道府県に1,160店舗以上展開
  • 駅近など、利便性の高い立地
  • 24時間365日利用可能

4. プロモーション(Promotion)

  • CM、Web広告、SNS広告などを活用した積極的な広告展開
  • 入会者に体組成計やヘルスウォッチなどのプレゼントも

「マーケティングミックスの4P」の詳細については以下の記事をご覧ください。

marketing101.hateblo.jp

chocoZAP成功ポイント

これほどまでに拡大に成功しているchocoZAPの成功要因は、以下の2点になるのではないでしょうか。

1. 無人店舗の仕組みによる低コスト化&低価格での提供

従来のジムとは異なり、スタッフを配置せず、無人運営することで人件費を大幅に削減しています。また、シャワーや更衣室などの設備を必要最低限に抑えることで、施設の維持管理コストも削減しています。

2. カジュアル層のフィットネスジム市場の開拓(ブルーオーシャン戦略)

高額な入会金や月会費、営業時間の制限など、従来のジムには多くの参入障壁がありました。chocoZAPは、低価格と24時間365日利用可能な利便性で、従来のジムではターゲットとしていなかったカジュアル層を開拓することに成功しました。

競合ひしめく従来のフィットネスジム市場とは異なり、chocoZAPは独自のビジネスモデルで新たな市場を創造しました。これは、競争を避け、独自の存在感を確立する「ブルーオーシャン戦略」の典型的な例と言えます。

「ブルーオーシャン戦略」の詳細については以下の記事をご覧ください。

marketing101.hateblo.jp

今後の課題

営業損失(2024年3月期Q2は-29億円)を黒字転換できるか

低価格戦略による収益性への懸念は、chocoZAPが抱える最大の課題です。今後は、会員数のさらなる増加や、新たな収益源の確保などを通じて、黒字化を達成することが求められます。

まとめ

chocoZAPは、無人店舗の仕組みによる低コスト化、カジュアル層の市場開拓、ブルーオーシャン戦略によって、フィットネスジム市場に革新をもたらしました。今後は、収益性の改善という課題を克服し、さらなる成長を期待されます。